平生記念館開館40周年記念集会開かれる
甲南学園の同窓生が集う「平生記念館」が今年で開館40周年を迎え、9月14日に記念集会が開かれました。
平生記念館は、学園の創立者、平生釟三郎先生の邸宅跡地に建設されました。平生家から寄贈された土地について、当時の学園や同窓会幹部らが相談して「平生先生の遺産を同窓生と学園の発展のために活用しよう」と記念館建設を決定。旧制甲南高校の卒業生を中心に浄財を集め、同窓会からの出資、施工にあたった竹中工務店の協力などで建設費1億2千万円をかけて、1974年(昭和49年)9月15日に開館しました。
当日は、平生家の方々や、旧制高校の同窓生約30人をはじめ、学園、大学・高校同窓会、竹中工務店関係者など約100人が出席。甲南大学の元学長で旧制同窓会顧問の衣笠茂氏(旧17回文)が「開館40周年を迎え感慨深い。このすばらしい場所を、どうかいつまでも同窓生の心のふるさととして守っていってほしい」と開会の辞を述べられ、今夏就任した甲南大学の長坂悦敬学長が「記念館の存在を通じて、甲南の心のつながりを感じる。徳・体・知の順でその大切さを説かれた平生先生の教えに沿って人を育てていきたい」と挨拶されました。
続いて記念集会の実行委員を務める濱田邦夫氏(S32経)が、平生先生の生い立ちから旧平生邸訪問、甲南学園創立、記念館誕生の思い出を紹介。平生先生が35年間、住吉に住んだことに触れながら、記念館の場所の意味を強調。「旧制高校卒業生を中心に、多くの方のご協力で建てることができ、この日を迎えられたのはうれしい」と話されました。
甲南高校・中学校クラシック同好会とOBらが、旧制高校出身の世界的音楽家であった貴志康一氏の作曲による「赤いかんざし」「竹取物語」をピアノ五重奏で優雅に演奏。甲南高等学校同窓会副会長の松井佐一郎氏の音頭による乾杯で、記念の節目を祝いました。
和やかに会食が進む中、思い出話は尽きませんでしたが、最後は全員で旧制高校と現高校の校歌を斉唱。大学同窓会の小林豊会長が「平生イズムは現代にも十分生かしうるもの。学べてよかった。同窓生が語り合う場所としてあり続けるため、記念館を後世に守り伝え、甲南の発展につなげたい」と閉会の挨拶を述べ、約2時間の集会は大いに盛り上がって幕を閉じました。
この日出席した平生先生の孫、平生甲一さんは「みなさんのご尽力で記念館が使われ続けてありがたい。きょうは甲南魂のかたまりのような方たちにお会いでき、祖父を思い出しています」。当時、竹中工務店で記念館の設計を担当した大辻眞喜夫さん(旧25回理)は「松林の中のあずまやをイメージして、庭の松を残したが、大きく育ってよかった。阪神・淡路大震災を乗り越え、当時のまま使われているのは嬉しい限りです」と話されていました。
記念集会に先立っては、旧制高校卒業生を中心に、有志が記念館北にある平生先生のお墓に参って手を合わせ、記念館の歩みを報告するとともに、学園と同窓会のますますの発展を誓いました。